中温用業務用エアコンの特徴について解説します

業務用エアコンと聞くと、一般的な冷房・暖房用の空調設備をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、実際の現場では温度条件が厳しく求められる空間が数多く存在します。
そうした繊細な温度管理を求められる環境で導入されるのが「中温用業務用エアコン」です。

このコラムでは中温用エアコンとはどういった機能があるのか、通常の業務用エアコンとの違いや設置環境の注意点等について説明します。

中温用業務用エアコンの特徴

中温用エアコンは冷凍用のような極端な低温ではなく、10℃〜25℃前後という「中間帯の温度を常に安定的に維持する」ための専用空調です。
たとえば、食品加工や保存、ワインの貯蔵、医薬品の保管、精密機器の管理、試験研究施設など、中温帯の維持が作業や品質に直結する現場で活躍します。
また、近年では、省エネ性能や空間演出性も重視されており、より高性能でスマートな機器への需要も高まっています。
 

 
 

中温用エアコンの導入推奨現場とメリット

食品製造・加工工場

食品は温度によって著しく品質が左右されるデリケートな製品です。
生鮮品の選別、肉や魚のカット作業、加工品の包装ラインなどでは、雑菌の繁殖や酸化の進行を防ぐために、常に低温安定環境が求められます。
中温用エアコンを導入することで、年間通じて18℃〜22℃をキープするような設定が可能となります。
 

 
 

ワインセラー

ワインセラーでは温度を13℃〜15℃に保たなければなりません。
通常の業務用エアコンでは対応できない温度帯も中温用エアコンならば温度管理が可能です。
特に商業施設など規模の大きいワインセラーでは中温用エアコンの設置を推奨します。
 

 
 

クリーンルーム・研究実験施設

微生物や反応試験、DNA抽出など精密な温度条件での実験には、外気温の影響を排した正確な室温管理が求められます。
中温用エアコンを使用することで、室温のばらつき・再現性の低下を抑え、信頼性のある研究成果を生み出せる環境を提供します。
 

 
 

選定・設計時に考慮すべきポイント

中温用エアコンの選定は特に難易度が高く、専門業者やメーカーに選定を依頼した方が良いでしょう。
特に注意が必要なポイントについて説明します。

適正な能力の選定

通常の業務用エアコンとは異なり、温度帯の維持を目的とした中温用エアコンは設置場所の用途を詳細に把握したうえで、正確な熱負荷計算を行うことが肝心です。
 

 
 

台数と故障時のリスクを考慮する

中温用エアコンが1台しか設置していなく、その機器で空調をまかなっている場合、通常の業務用エアコンより故障時のリスクについて考える必要があります。
温度帯の維持ができなくなることで室内物品の二次災害に繋がる可能性もでてきます。
設置業者が24時間保守対応をしていない場合は、修理や交換まで時間がかかる可能性もあるので、故障時のことを考え、複数台の設置をするべきか検討が必要です。
 

 
 

結露に注意する

中温用エアコンは通常よりも低い温度帯で運転することが多いため、結露が起こりやすくなります。
結露対策として配管保温材を通常の業務用エアコン設置環境よりも厚いもので巻く必要があります。
中温用エアコンの工事を経験している業者に依頼する方が安全な施工が可能です。
 

 
 

まとめ

中温用エアコンは温度を均一に保つ必要がある環境では必須の機器となりますが「特殊用途向け」のノウハウが必要な領域です。
通常のエアコンよりも能力の選定が難しく、故障時のリスクについて深く考える必要もあり、設計ミス・選定ミスがトラブルや商品ロスにつながるため、経験豊富な業者選びが極めて重要です。

エアコンネクストでは、中温用エアコンに強いメーカーからの選定を行い、空間ごとの熱負荷計算に基づいた馬力設計やドレン・換気・湿度・センサー制御を含めた総合提案、ご予算と目的に応じたカスタマイズプランの提示が可能です。

故障時のリスクも分かりやすく説明しますので、初めての導入でも安心してお任せください！